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セメントって何なの?生コンはどうやってできるの?・・・
いろいろな疑問点をQ&A方式でまとめてみました。
セメント協会「セメント・コンクリート問答集」より
(内容は定期的に更新いたします)


生コンクリートに関わる疑問点・質問等ございましたら下記のアドレスまでご一報ください。 確かな技術員が即時ご解答いたします。

VOL.3
Q.
コンクリートのスランプとは何ですか、またどのように定めるのですか?
Q.
強いコンクリートを造るためには水をたくさん使ったほうがよいでしょうか?
Q.
セメントまたはコンクリートの乾きが早いとか遅いとかいいますが、どんなことですか?
Q.
セメントは気温が低いと硬化力が遅いという事ですが、冬などのコンクリート工事はどうするのですか?
Q.
コンクリートの養生とはどんなことですか、また、なぜ必要ですか?

コンクリートのスランプとは何ですか、またどのように定めるのですか?
 コンクリートのスランプとは、まだ固まらないコンクリートの軟らかさの程度(これをコンシステンシーという)を表す値で、次の図や写真のようにスランプ試験を行って定めます。すなわち、高さ30cmの円錐台のコーンに一定の方法でコンクリートを詰め、コーンを静かに鉛直に引き抜くとコンクリートは軟らかさの程度に応じて自重でその頂点が下がります。この頂点の下がりがスランプ(単位はcmで表す)です。
 
  (a)スランプコーン 上底直径10cm 下底直径20cm 高さ30cm
(b)生コンをスランプコーンにつめる
(c)コーンを引き抜く
(d)スランプが硬い状態
(e)スランプが軟らかい状態。

 図からもわかりますように軟らかいコンクリートほど下がりが大きい。

 
   つまり、スランプが大きいほど軟らかいコンクリートということになります。
スランプは、コンクリートを練るときに使う水の量によって変わります。水をたくさん使えばスランプは大きく(軟らかく)なるし、水の量が少ないとスランプは小さく(硬く)なります。
 では、どうして、コンクリートのスランプを決めるかといいますと、それらは造られるコンクリート構造物の種類や施工方法によって変わります。
 たとえば、ダムや道路のような場合は、鉄筋が少ししか使われないし、構造的に複雑でなく、強力なバイブレーターも使えますので、できるだけスランプの小さい硬いコンクリートを打設することがよいわけです。また、ビルのような建物では、鉄筋も相当入り組んでおり、構造的にも複雑なので隅々まで充分にコンクリートが行き渡るようにするためにスランプが18cm〜21cmのような軟らかいコンクリートが使われます。
 また、まだ固まらないコンクリートの性質に関連して、ワーカビリチーが良いとか悪いとか言う言葉がよく使われますが、これは、構造物の種類や施工方法に適した、軟らかさや粘性をもったコンクリートであるかどうかを意味しています。つまり、ワーカビリチーとは、コンクリート作業のしやすさの程度を表します。
 ちなみに運動選手がスランプになったといいますが、スランプとは「ズドンと落ちる」という意味があるので、調子が落ちたということとコンクリートのスランプとは同じ意味があるようです。
 
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強いコンクリートを造るためには水をたくさん使ったほうがよいでしょうか?
 これはNHKのクイズ番組に出題された問題です。しかも博識のレギュラーメンバーの面々が頭をしぼった末、遂に鐘がなってしまったということです。セメントが水とよく化合するように十分水を加えたほうがよいと考える人が多いかもしれませんが、正解は水をたくさん入れて造ってはいけません。コンクリートの強度はセメントと水の重量割合によって決まります。水とセメントの重量比を水セメント比(W/C)といいます。図のようにコンクリートの強さは、水セメント比が小さいほど、逆にセメント水比が大きいほど大きくなります。
 
 
 したがって、理論的にはできるだけ少ない水で練ったほうが強いコンクリートが得られます。しかも、水を透しにくいコンクリートや、ひびわれの発生しにくいコンクリートにするためにも水は少ないほうが良いのです。このように良いコンクリート構造物を造るためには、できるだけ水の少ない硬いコンクリートを十分に締め固めるのが原則となっています。しかし、あまり水の量を少なくするとコンクリートの流動性が悪くなって、作業が非常にやりにくく、コンクリートが隅々まで十分に行き渡らず、かえって悪いコンクリートとなりますので、普通の場合、適度の軟らかさをもったコンクリート―水セメント比で50〜60%―を使用しているのが現状のようです。
 
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セメントまたはコンクリートの乾きが早いとか遅いとかいいますが、どんなことですか?
 コンクリートを練ってから数時間すると、コンクリートは流動性を失って手でちょっと押しても動かなくなります。この状態ではまだ硬化は始まっておりません。1日〜2日経つとコンクリートはかなり硬化が進みます。その時には上述したとおり水とセメントが化合するので、水がセメントにどんどん吸収されます。すると湿潤であったコンクリートが乾いたように見えます。これをコンクリートの乾きといっているようです。ですから、コンクリートの乾き始めというのは、硬化が進み始めたという意味になります。したがって乾きが早いというのは硬化の進行が早い遅いということと同じです。
 しかし、硬化に必要な水が蒸発してしまって不足となったために乾燥する場合には、ここの「乾き」という意味と大差があります。この点間違いのないよう注意が必要です。よくコンクリートの乾きをコンクリートが固まったと思う人がいますがそれは間違いです。乾燥のために乾きが早いのでしたら硬化の進行は阻害されますし、また、ひびわれが発生したりして大変なことになります。乾燥すると早く強度がでると勘違いして打設直後のコンクリート構造物の中で「たきび」をしているのを見たことがありますが、とんでもないことです。これではひびわれ、強度低下を促進しているようなもので、逆に散水養生をして強度発現を図るべきです。
 
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セメントは気温が低いと硬化力が遅いという事ですが、冬などのコンクリート工事はどうするのですか?

 セメントは温度が低いと硬化力が遅くなりますから当然コンクリートも硬化力は遅くなります。
 しかし、硬化力が遅くなることは決して強度が弱いコンクリートが造られることではありません。長期的な強度は初期のコンクリート温度が低いほうがむしろ出る傾向にありますが、冬のように気温が低いときは、コンクリートが固まるまでの時間が長く、固まってからの硬化力も弱いので初期にコンクリートが凍る恐れがあります。普通、コンクリートはマイナス0.5〜マイナス2℃以下になると凍ります。コンクリートが初期に凍ると硬化力を失い強度も出なくなりますので冬季の工事では、コンクリートを凍らせないようにしなければなりません。一般に日平均気温が4℃以下になるような時期に打設するコンクリートを寒中コンクリートといっています。寒中コンクリートの施工では、使用する水、砂、砂利等の温度を高くして練ったり、水セメント比を小さくしてコンクリートの強度がなるべく早く発現するようにしたり、また打設したコンクリートに電気とかその他の方法で加熱、保温したりしてコンクリートを凍らせないような工夫をしています。ただし、セメントを加熱してはいけません。

 
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コンクリートの養生とはどんなことですか、また、なぜ必要ですか?

 コンクリートの養生とは、コンクリートを練ってから、硬化するまでの間に、適当な温度と湿気(水分)を与えて十分に硬化力を発揮できるようにしたり、コンクリートの強度が十分大になるまで、過度の衝撃や荷重を与えないようにしたり、また風雨、霜、日光などに対してコンクリートの露出面を保護することを言います。
 昔から、“コンクリートは生きものである”とよく言われていますが、圧縮強度を始めコンクリートに要求されるいろいろな性質を十分に発揮させるには、温度と水分の二つの栄養分が必要で、特に初期に十分与えることが重要です。このことは、人間の赤ちゃんを育てる時のことを考えるとよくお判りのことと思います。
 なお、この温度と水分を与えるにはいろいろな方法がありますが、一般的に行われている方法を挙げますと次のようになります。

  @ 普通養生
 
 コンクリートの強度促進、乾燥収縮によるひびわれ防止、凍結防止などの目的で特別 に温度を上げるようなことはせず、打込み後1週間程度は、散水したり、濡れムシロ、カンバス、オガクズなどをかけて、コンクリートが表面乾燥しないようにする方法で、現場で打込まれるコンクリートの養生は、ほとんどこの方法と考えてよいでしょう。
 なお、北海道などの寒冷地で寒中に工事を行う場合、構造物をシートなどで覆い、コンクリートを暖める場合がありますが、これも広い意味の普通養生といえましょう。
  A 蒸気養生
  コンクリートを練り混ぜてから数時間後に、蒸気でコンクリートに温度と水分を与え、早く強度を出す方法で、道路用のコンクリート製品やプレストレストコンクリート製品などは、この方法で養生される場合が多いようです。
  B オートクレーブ養生
   蒸気養生が済んだコンクリートをオートクレーブという特殊な養生釜に入れ180℃・10気圧程度の高温・高圧の蒸気により養生を行う方法で、この方法で養生することにより、800〜1,000kgf/cm2程度の圧縮強度を持つコンクリートを得ることができますが、通常のコンクリート材料のほかに、けい石粉などのシリカ質の粉末を混入することがポイントとなります。
 なお、この方法で造られる製品には、高強度パイルなどがあります。
 また、その他に電気を利用する方法や、高温の油の中にコンクリートをつける方法などがありますが蒸気養生を含めこれらの方法は、やり方によってはコンクリートに悪い影響を与えますので、十分注意を払う必要があります。
 
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